元気な50歳以上の方も、いま元気だからといって安心はできません。 家庭内での不慮の事故をきっかけに亡くなられる方や、 亡くなられないまでもそのまま寝たきりになってしまわれたり、 介護を受けられるようになる方が、実は大勢おられます。 決して他人事ではありません。 |
【45歳以上では交通事故死よりも多い家庭内の事故死】 |
家庭内における不慮の事故で亡くなられる方は毎年1万人を超えています。しかも、ここ数年(1997年~2000年)で12%も増加しています。45歳以上では、家庭内事故死者10,084名に対して交通事故死者8,377名であり、家庭内事故死者が日々テレビや新聞で報道され社会問題化している交通事故死者を上回っています。 家の中は安全なはずと思い込み、自分の家のことは熟知しているから大丈夫として、家庭内の安全に対する配慮がおろそかになっているのではないでしょうか。 |
【転倒・転落 - 階段等のつまずき・すべりに注意!寝たきり原因の12%】 |
転倒・転落は、住宅関連の家庭内事故としては2番目で、年間2千人弱の45歳以上の方が亡くなられています。在宅高齢者の転倒発生率(年間)は10~20%もの水準だといわれています(日本医事新報「高齢者の転倒・骨折をめぐって」2000年)。寝たきりとなった原因でも、12%が骨折・転倒によるものという調査結果も出ています(厚生労働省「国民生活基礎調査」2000年)。転倒・転落の主な原因は、「すべり・つまずき」です。 |
【バリアフリー住宅ってどんな家?】 |
体の機能が劣えたお年寄りや体に障害をもつ人にとって、家のなかのちょっとした段差がつまずきの原因になったり、辛い階段の昇り降りが行動範囲を狭くしたりします。 そこで、これらの障害を解消し、安全に快適に動けるよう段差をなくしたり、手すりを設けたりしたのがバリアフリー住宅です。 お年寄りや障害を持つ人にとって安全な住まいは、一緒に暮らす家族にとっても安全、快適な家となります。 |
【どの家もバリアフリーであることが必要?】 |
今は元気でも、将来を考えてリフォームするのがおすすめです。 人は誰でも年をとります。今は必要がなくても、体の機能低下に合わせたリフォームはいつか必要になるでしょう。 「70代をすぎてからのリフォームは精神的にも体力的にも大変です。バリアフリーにして困ることは何もないですから、工事をするなら早い時期がおすすめ」。現在の住まいの安全性や快適性をチェックしてみて(下表参照)、リフォームの必要性が出てきそうなら、内装や水まわりのリフォームをするついでにバリアフリーについても考えてみるといいでしょう。 |
【トイレのバリアフリー】 |
トイレの横に収納スペースがあれば、それをつぶしてトイレスペースを広げ、車椅子や介助に対応することもできます。将来を考えて広くするなら、便器を片側の壁に近づけ、手すりの設置に備えるといいでしょう。 |
【階段のバリアフリー】 |
落下防止に有効な階段の手すりは両側設置が理想ですが、片側にしかつけられない場合は、降りるときの利き手側に設置しましょう。今は不要でも廊下やトイレ、浴室などは壁を補強しておくと後の設置が簡単です。 |
【出入口のバリアフリー】 |
足腰が弱くなっていたり、車椅子の場合は、開閉時に体の移動が少ない引き戸が楽です。取っ手はにぎりやすい棒状のものが良いようでしょう。開き戸では丸いノブよりもレバーハンドルの方が力が少なくてすみます。 |
【浴室のバリアフリー】 |
広さは1坪あれば介助スペースもとれます。将来を考えての浴室のリフォームなら、手すりのつく位置への下地補強、脱衣室との段差の解消、出入りしやすく滑りにくい浴室の設置を行うとよいでしょう。 |
【段差のバリアフリー】 |
家の中やアプローチから玄関までの段差はできるだけなくしたいもの。 どうしても解消できない場合は床の仕上げ材を滑りにくい素材に変えたり、照明で明るくして見やすくすることがポイントです。 |